教養ビデオプロジェクト
■ 先住民族のために、先住民族によってつくられるビデオ
「Earth Peoples」とは、先住民族をとりまく問題を提起し、それに対する意識を高めることを目的とした、先住民族のために先住民族によってつくられるビデオです。このビデオ制作プロジェクトは、世界各地の先住民族パートナーの協力によって始動しました。今日の先住民族をとりまく問題・環境・文化に関する情報を先住民族のパートナーから得ることにより、先住民族の価値観を反映し、また先住民族によって形付けられた内容のビデオを制作することを目指しています。先住民族によって制作されているという特徴は、先住民族にまつわる教育の場で有効的な道具として活かされることが期待されます。また、ビデオに含まれる映像や音楽も、各先住民族を代表するパートナーによって提供されています。
このビデオは、視覚的に表現することにより、誰にでも分かりやすい内容になることを目指して制作されています。先住民族の教育家や先住民族問題に取組む研究家にとって、先住民族によって作りあげられた充実した教育媒体となるでしょう。ビデオの中では、世界各地の原住民がナレーターとなり語ります。また、ビデオの完成版は、ポルトガル語・スペイン語・英語・フランス語・ロシア語・中国語・日本語の他、いくつかの先住民族の言語で吹替版が制作されます。
■ ビデオ「Earth Peoples」のターゲット層
このビデオは、世界各地の先住民族の中でも、特に子供や若者そして世の中の情報に接することが地理的にも文化的にも難しい先住民族を主なターゲットとしています。ターゲットとされている先住民族の多くは人里離れた地域に住んでいますが、ほとんどの場合、数時間から1日程の移動で先住民族団体の事務所や教育施設等でVHS再生機械を利用しビデオを観ることができます。
■ ビデオ制作の目的
- 世界各地の先住民族の多様な文化や環境を、視聴者と共有できるように、映像と音声を提供すること
- 先住民族に古くから伝わる問題に対する解決策や知恵を共有し、それらに対する認識を高めること
- 世界各地の先住民族に共通する問題や論争点に対する意識を高めること
- 「権利」に対する意識を高め、権利の主張を促すこと
- 先住民族が共有する問題に力を合わせて取り組めるように、先住民族間の意見交換を促し、ネットワークを強化すること
- 地域・国・世界レベルでの話合の土俵に積極的に参加し、自らが属する先住民族を代表して意見を述べ、重要な意思決定に加わることを促すこと
- このビデオのターゲット層が、先住民族が抱える様々な問題を代弁できるように、問題に対する理解と意識を高めること
- 地域・国・世界レベルの条約に対する理解を助けるために、情報を提供すること
- 各先住民が自尊心を持ち、独自の文化を保ち続けることを促進すること
■ 教養ビデオの概要
- 1. 世界地図
- 世界地図の概念、およびその世界地図と物理的な地理との関連について
- 2. 自然環境を現す映像と音声
- 大洋
- 北極
- ヨーロッパ
- 北米
- メキシコ・中米・カリブ海周辺
- 南米
- オーストラリア・太平洋
- 東アジア・南東アジア
- 南アジア
- 中東
- 近東
- アラビア半島
- 東アフリカ
- 中央アフリカ
- 北アフリカ・西アフリカ
- 南アフリカ
- 3. 地球規模の環境問題
- 地球の自然体系を影響する環境問題を、映像と音声で説明
- 有限天然資源の過剰採取 (森林伐採・石炭採鉱・石油採掘・天然ガス採掘・放牧など)
- 環境汚染 (水質汚濁・海洋汚染・土壌汚染・大気汚染)
- 大規模な開発建設による環境破壊 (ダム・道路・石油/ガスのパイプライン・採鉱の建設など)
- 人口増加
- 地球温暖化
- オゾン層破壊
- 過剰漁業による漁業資源の枯渇
- 野生生物種の減少
- 湿地帯・森林の壊滅、水資源の枯渇
- GMO(遺伝子組み換え生物)問題
- 共有地の民営化
- グローバル化による地球環境への影響
- 4. 世界各地の先住民族の映像
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- 各大陸に住む先住民族の映像
- 各大陸の先住民族の伝統音楽
- 各大陸の先住民族言語
- 5. 先住民族に関する政治的事項
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- 独立国家
- 民族自決
- 土地と領土の所有権
- 地域開発・発展に対する権利
- 環境破壊・環境汚染とその責任
- 大規模な開発プロジェクトが先住民族地域に及ぼす影響
- 国家による先住民族の認知
- 国際法の立法と施行
- グローバル化
- 国家による条約や協定の不遵守
- 先住民族文化の圧制
- 人種差別
- 先住民族にとって「神聖な地」の保護
- 経済・社会・政治・文化遺産・知的財産・伝統知識・遺伝子資源に対する、個人および集団の権利
- 6. 先住民族による提言
- 今日の先住民族をとりまく問題に対する先住民族の提言を映像を交えて解説
- a) 環境
- 先住民族の基本データの収集、地域調査、地図作成、文化的資産管理(教育項目を参照)の実施
- 環境保護および植林による、生息地保全活動の実施
- 種まき活動により遺伝子操作が施されない自然な植物体系の維持
- 風力や太陽光など自然を利用した、再生可能エネルギー資源によるエネルギー自給の実現
- 野生動物および植物が本来の自然体系を回復することを目的とした、動物保護・植林・養殖の実施
- 植林と伐採の現状を把握するためのデータ収集と分析の実施
- 先住民族環境教育チームの形成
- b) 政治・政策
- 地区および地域に関する意思決定への参画
- 地区・地域・国・世界レベルの政治的土俵への参画
- 個人の教養ならびに能力を高めるための特殊教育の実施
- 合意的意思決定に基づいた事項の主張
- 協力関係の構築
- c) 教育
- 先住民族によって管理された、文化・社会・芸術・言語・政策・伝統的知識などいくつかの学問を交えた総合教育の実施
- 地域社会のために、年配者や若者によって書かれた2言語の本の出版
- 年配者により口述された歴史や伝記のデータ収集およびその評価
- 環境・文化・社会問題に関する過去と現在のデータの収集・まとめ・評価
- 先住民族の教育家間での、教育面や文化面における経験や手法の情報交換
- d) 文化
- 祖先伝来の文化の保護
- 伝統知識と伝統文化の情報収集
- 2言語による特殊教育制度
- 文化に対する自尊心の促進
- e) 健康
- 先住民族による地域の健康管理機関の運営
- 地域において、伝統医学を取り込んだ医療を提供できる機関の設立 伝統的な世界観を、医療機関に伝授し、認知を高める
- 伝統的な薬の調合や収穫方法に関する情報の収集と整理
- 伝統医学に基づく治療の促進
- f) 媒体
- 先住民族によるメディアプロジェクト
- ビデオ・映画
- 芸術
- ラジオ
- ジャーナリズム
- 7. 人権啓発
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- 国連の概念
- 国連と先住民族との関係
- 国連における先住民族問題対策窓口
- その他、先住民族問題の相談窓口
- 8. Earth Peoplesとしての、地球上の共同責任
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国籍や文化の違いに関わらず、私たちは皆この地球の人間です。それ故に、地球全体が共同責任を持ち、協力し合い、地球を守るために継続的な環境負担の低減に取り組まなければなりません。この精神によって、美しい地球とその自然環境、そしていくつもの文化が、次の世代へ受け継がれていくのです。
- 各自が、問題に対する解決策や提言を模索し、それに対して行動していくこと
- 人権と自然保護を主張していくこと
Translated by Hiromi Shibata, New York
訳 柴田広美